民芸みやぎ

宮城県民藝協会からの折々の便り
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日本民藝夏期学校 松本会場−3日目−

日本民藝夏期学校 松本会場
2012年8月31日〜9月2日


3日目 塩尻市奈良井へ移動
     見学・解説 「木曽漆器館」  
                                    宮原建一氏
                                      (「工藝マエストロ」オーナー)
              佐藤阡朗氏
              (漆工、日本民藝協会専務理事、
                                         日本民藝館運営委員)
      講義    「漆工と工芸 歴史と展望」 
                                     講師 佐藤阡朗氏(同上)
      閉校式



 

 
木曽漆器館で
2班にわかれて、漆工の佐藤阡朗さんと「工藝マエストロ」オーナー宮原建一さんが解説。
長野オリンピックのメダルに漆が使われていたとは知りませんでした。
結った髪にさす「笄(こうがい)」。
ふだん見ることはなくなったけれど、なにかに生かしたくなります。


ガツンときたのは、佐藤阡朗さんの言葉でした。
「よく後継者難と言われ、つくる人を育てようとしがちだが
 使う人がいない中では不幸な人をつくることになる」
求められているのは、なによりも使い手でした。


そぞろ歩きのように、講義会場となる奈良井地区公民館へ。
 
 



 
佐藤阡朗さんによる講義
「漆工と工芸 歴史と展望」。


日本人の気質が生かされた材料のこと、技のこと。
素敵なラッピング素材になりそうなこの紙は、
漆を漉した和紙です。
これ以上漉せないところまで漆を漉す技。
この使い終わった和紙に「仕事が表れる」のだそうです。


プラスチックや人工漆ではない
本物を使う楽しみを伝えていくこと。
それが最優先に求められています。


お昼は、王滝村のお母さん方がつくられたお弁当。
いいお味でした。
 



**こぼれ話



夏期学校に参加されていた方が提げていたバッグに
手づくりらしい「こぎん刺し」を見つけました。


聞けば、青森の夏期学校でこぎん刺し体験をされた方だそう。
そのときにつくったものを
バッグのワンポイントにされていました。


「それは……?」から会話がはじまり
こぎん刺しづくりの感想など聞くことができたのも
思いがけないうれしさでした。



***見つけた! 松本の好きなところ***

 
夏期学校の後に、まち歩き。
湧き水が多いのも松本の特色です。


 


人形のお店が多いのは
節句に男児女児を問わず人形を贈る風習があったからと
「人形の緑屋」の方に教えていただきました。


七夕のとき軒下に飾る七夕人形は
本来は見せるためではなく無病息災を願ってのことだそう。
奥ゆかしく感じられる気質が、丸山太郎さんの気質にも通じる気がして
松本のまちが、より近く感じられました。










 

| 活動−2012夏期学校 松本会場 | 13:28 | comments(0) | trackbacks(0) |
日本民藝夏期学校 松本会場−2日目−

日本民藝夏期学校 松本会場
2012年8月31日〜9月2日


2日目 講義「民藝と建築」     講師 降幡廣信氏
                    (長野県民藝協会会長、
                                                       降幡建築設計事務所会長)

    講話「木霊(こだま)」 講師 池田満雄氏
                  (松本民芸家具 代表取締役社長)

    昼食         市内4店舗から選択

           見学・解説   蔵シック館「三代澤本寿の仕事展」
                                              長野県民藝協会 宮島通江氏

           見学・解説 松本民芸館 特別展「丸山太郎と民藝の巨匠たち」 
                                              館長 丸山廣登氏

           見学・解説 レストラン鯛萬  講師 降幡廣信氏

           夕食      しづか



古民家再生の旗手であり長野県民藝協会会長である
降幡廣信さんによる講義「民藝と建築」。


民藝協会に入会されたきっかけは
19年前の夏期学校で講師のピンチヒッターを務めた際、
「会場の和室に入って来られた全国の民藝協会の女性が
畳に正座してあいさつされ、隣席の人にもあいさつをされた。
そういう心の余裕をもった人になりたいと入会した」
と思い出を披露されました。


講義では、日本と西洋の住まいの特徴を比較しながら
「家は、気候や環境に調和することで
住みやすく、美しく、丈夫で長持ちする」
「使いながら育てることが重要」
だとご説明。


「平安時代から、家具や調度を配置して装飾した室礼は
女性の教養が表れる」という言葉にも
日々の住まい方への気づきがありました。



松本民芸家具の代表取締役社長の池田満雄さんからは
「木霊(こだま)」。
木にまつわる不思議な縁を感じるご講話。
寄席を思わせる語り口に、引き込まれました。


 
昼食は、民藝の趣ある4店舗から好みのメニューを選択。
信州といえばそば、ということで
「女鳥羽そば」で名物「三重そば」をいただきました。
ざる、とろろ、抹茶の三種の味くらべでお腹いっぱいに。




次の会場に向かうまち歩きの間に、
松本民芸家具中央民芸ショールームも見学。


 
明治に建てられた酒蔵を移築した
まちづくりの拠点施設「蔵シック館」で
「三代澤本寿(みよさわ もとじゅ)の仕事展」を見学。
長野県民藝協会会員の宮島通江さんのご解説。
当時の資料を手にとり、ページをめくる喜びがありました。





来てみないとわからないと、つくづく感じたのがこちら。
丸山太郎さんが私財を投じてつくられ、
後に市に寄贈された松本民芸館です。



門をくぐると愛らしい道案内。


丸山廣登館長から概要をご説明。



 
館内に入ると、けっして豊富な財力をあるにまかせて投じたのではなく
一つひとつ吟味され選ばれてきたことがわかります。
そして、そこここに彩られた野の花から
丸山太郎さんの想いが大事に受け継がれていることが伝わってきました。


卵殻細工のつくり手としても
柳宗悦にたたえられながら
名を残すことにとらわれず
民藝の趣旨を伝える民芸館を、松本に残された丸山太郎さん。


もう一度、ゆっくり時間をかけてまわりたいところです。

  






続いて向かった見学先は、フランス料理店「レストラン鯛萬」。

松本民芸家具の創始者、池田三四郎さんが設計から調度まで手がけられたところです。
建てた棟梁のご息女も長野県民藝協会の会員の方。
歴史をすっと引き寄せられるのが、夏期学校らしいところです。

  

 


夜は、民藝の趣ある「しづか」で夕食。
のれんは、三代澤本寿さん作。
内装や設計は池田三四郎さん。



夜の夏期学校、2日目。
『道―白磁の人―』の映画化に奔走した
李 春浩さんの韓国創作家庭料理のお店「やんちゃ坊」にて。
熱い想いと秘話などをうかがいました。
  












| 活動−2012夏期学校 松本会場 | 14:06 | comments(0) | trackbacks(0) |
日本民藝夏期学校 松本会場−1日目−

日本民藝夏期学校 松本会場
2012年8月31日〜9月2日

 


1日目 開校式
      歓迎講演   まつもと市民芸術館監督 串田和美氏
      基調講演    「民藝美の出発点」    講師 外村民彦氏
                                                                  (日本民藝協会常任理事、
                         日本民藝館理事)
      講義        「浅川兄弟と柳宗悦」     講師 尾久彰三氏
                                                                   (元日本民藝館主任学芸員)
             懇親会     松本ホテル花月


ひと夏に約3カ所で行われる日本民藝夏期学校。
それぞれ地域の民藝協会の方々が、
さまざまに趣向を凝らして開催されます。


「民藝の真髄」を学ぶことはもとより、
その土地に伝わる民藝の品々、技と知恵、
郷土文化や暮らしぶりなどにふれられる貴重な機会になっています。


 
「美のみなもとを学ぶ」と題した、第142回日本民藝夏期学校松本会場。
大正期に建てられた旧制松本高校の講堂である
あがたの森文化会館が、初日の会場です。


つやのある木の床、大きな梁。
どことなく懐かしくなる雰囲気。
全国から集まった約100名の中に知っている顔はほとんどなくても
どこか似通った空気が流れているのが、
民藝協会の集まりらしいところです。


まつもと市民芸術館監督の串田和美さんによる歓迎講演。
どこかで見かけたお顔と思ったら
NHK朝のドラマ「おひさま」でそば屋のご主人を演じられていた方でした。

この日、松本のまちを歩いて会場に向かう途中、
しゃれたカンカン帽をかぶった自転車の方に道をゆずりました。
「すみません」と爽やかに通り過ぎていった方が串田さんだったのだと
この講演会で気がつきました。


民藝を、なぜ学ぶのか、なにを学ぶのか。
その指針を示してくださったのが
基調講演「民藝美の出発点」の講師である外村民彦さん。


日本民藝協会常任理事であり、
民藝の美意識の普及に努められた外村吉之介さんのご子息にあたります。


夏期学校がはじまったのは40年前。
高度成長とともに「民藝」の美意識は全国的に広まりました。
ただ裾野が広がったことで、
内容が変わったり、堕落したり、といったことが危惧されるようになりました。
そこで、「民藝の本質を学ぶ機会を」と
お父様の吉之介さんが引き受けて行われたのが、第1回目の夏期学校です。


朝日新聞の記者として長く勤められた民彦さんは言葉に敏感で、
「“用の美”と出てくると、
 この後にどんな言葉が続くのかとドキッとする」と言われます。
「言葉が眼の邪魔になる」
「頭より眼を働かすこと」
という言葉に、あらためて強く気づかされます。


民藝のキーワードは「自然」であり、
民藝美の本質は「無心、無欲、他力」と定義づけてご解説。


お話だけでなく、一見してわかる画像でも
民衆的工芸品、貴族的工芸品、機械的工芸品の違いを紹介されました。
質素で素朴な雑器である「民衆的工芸品」に対し
次のようなものが「貴族的工芸品」。
 


そして、
「民藝館にある中で一つだけ持って帰っていいよと言われたら、朝鮮民画の『虎』を持ち帰る」
と言われて紹介されたのが、こちら。


ご自身が日々愛用されている民衆的工芸の品々には
思わず釘付けになり、写真を撮り忘れてしまいました。
なにげない表情のものなのですが
健康で無駄がなく丈夫そうなお品物ばかりでした。


締めくくりには、
梅原猛さんの「原発事故は人災でも自然災でもなく文明災」という言葉を引用され
「自然と向き合い、共に生きること」へ
今までの生活意識を見直すときなのではとご提言。
「民藝の出番であろうと思う」と結ばれました。




続く講義は、元日本民藝館主任学芸員の尾久彰三さんより
「浅川兄弟と柳宗悦」。


その装いは、韓国で求められた麻素材の上下。
柳宗悦に民藝の美を意識させるきっかけをつくった浅川兄弟を紹介する
尾久さんのお話と映像『韓国人になりたかった日本人』の上映を通して
それぞれの文化を敬愛する姿勢の大切さを感じました。




ちなみにこの装いは、樹木希林さんのお見立てとのこと。
樹木希林さんと尾久さんによる珍道中
NHK BS『温故希林』で韓国ソウルを旅した際に求めたものだそうです。
10月24・25・26日19:30〜20:00
3夜連続で放映される同番組に、尾久さんがこの韓服姿で登場されますので
そちらもどうぞお楽しみください。
http://www.nhk.or.jp/bs/kirin/



宿泊先は、「松本ホテル花月」。
クラシックな雰囲気の旧館が落ち着きます。


夕食や懇親会では、
長野県民はみんな歌えるという県歌「信濃の国」を
同民藝協会の方々が大合唱。
その土地柄が感じられるおもてなしが、うれしいところです。




食後は三々五々。
長野県民藝協会の方おすすめのお店「庄助」で
夜の夏期学校。
青森、仙台、長野、島根の方々、そして学生さん参加者もいっしょに。








| 活動−2012夏期学校 松本会場 | 11:40 | comments(0) | trackbacks(0) |
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