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宮城県民藝協会からの折々の便り
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第138回日本民藝夏期学校 倉敷会場の報告−2日目−

日本民藝夏期学校 倉敷会場
2011年9月2日(金)〜4日(日)



2日目 講義 「郷原漆器・備中漆の復興」 
             講師 高山雅之氏(郷原漆器生産振興会会長)

         講義 「民藝とくらし」      
             講師 金光 章氏 (日本民藝協会会長)
          講義 「倉敷ガラス」       
             講師 小谷眞三氏(倉敷ガラス創始者)
                    (※台風のため、倉敷ガラスと備中和紙の工房見学が座学に変更になりました。)
          鼎談 「仕事と暮らし」         
                           杉山享司氏(日本民藝館 学芸部長)
                  柴田雅章氏(日本民藝館展審査員、国画会会員)
                  武内真木氏(倉敷堤窯、岡山県民藝協会副会長)

        交流会(自由参加) 倉敷町屋トラストにて




郷原漆器の工程や型がわかる見本に
ふれることで理解が深まります。 

「郷原漆器・備中漆の復興」の講義で
実は、郷原漆器のことをはじめて知りました。


郷原漆器は、600年もの間、
郷原(ごうばら)集落で普段づかいされていたもの。

戦後の1945 年あたりに途絶えてしまったけれど
1989年から復活に取り組み、
2006年には岡山県で初めて民俗技術として
「岡山県指定重要無形民俗文化財」に指定されたとのこと。

その立役者となった高山雅之さんによる講演がありました。
             
地元の古老の方々に漆器生産の経験や販売ルートを聞き、
近隣県の古道具屋をめぐり、かつての郷原漆器を集め、
復活にかけた熱意。

それにも頭が下がりますが、
たぶん参加者の多くを驚かせたのは
80代の高山さんによる、パワーポイントを駆使しての説明でした。
                         
岡山県民藝協会の70〜80代の講師の方々は
みなさんパワーポイントをご使用。
その姿勢、刺激になります。
   
                          



日本民藝協会会長の金光さんによる講義「民藝とくらし」。


民藝には、身近なものに美を見いだす「美的な視点」と
その背景にある「宗教哲学的な視点」があり、
宗教哲学を語られるのが金光さんだと、私は思っています。


民藝のもととなっているのが仏教思想であり、
深めることで人間形成につながっていくという考えを
金光さんもパワーポイントを使われながらお話に。


もっと詳しい内容は、
金光さんの著書『民藝を楽しむ』と『民藝とくらしき』をご参照ください。
金光さんが共感された
阿満利麿さん著書『柳宗悦 美の菩薩』も、どうぞご参考に。


 



楽しみにしていたのが
倉敷ガラスの小谷眞三さんの工房での実演でした。
ですが、台風のため残念ながら中止となり講演に。


前日は、岡山県でもっとも権威ある「三木記念賞」の授与式に出席され
夏期学校の懇親会では、受賞のスピーチをされた小谷さん。
実はその席で講演の打診をされ、
翌日の午後には、1時間半のご講演。
しっかり笑いもとられる、すばらしい内容でした。


やはり語られるのは、小谷さんを導かれた
倉敷民藝館の初代館長、外村吉之介さんから繰り返し言われた
         健康で
         無駄がなく
         まじめで
         いばらない。
 
そして、小谷さんが実感されているのが、             
子どものときに良いものに触れることの大切さ。
                       
この講演をうかがった私たち一人ひとりが、
心にとめておきたいことでもあります。



 



当初の予定が変わったにも関わらず
急きょ用意されたお昼のお弁当は
倉敷名物の「祭り寿司」。


そして、おやつは銘菓「瓊乃柚(たまのゆ)」です。
                  
艶干し錦玉のようなものかと思ったら
もっとしっかりした口あたりで
ざらめのような食感のする
柚子が香る寒天でした。


 


左より、武内さん、柴田さん、杉山さん
 
鼎談「仕事と暮らし」       
       杉山享司氏(日本民藝館 学芸部長)
       柴田雅章氏(日本民藝館展審査員、国画会会員)
       武内真木氏(倉敷堤窯、岡山県民藝協会副会長)
  
日本民藝館の学芸部長、杉山さんと
丹波篠山でスリップウエアの技法を生かして作陶する、つくり手の柴田雅章さん
父の晴二郎さんが開いた窯を継いだスリップ技法を生かす倉敷のつくり手、武内真木さん
による鼎談です。


柴田さんの
「ものは単なるものでなく、毎日ともに暮らしていると響き合う」
「暮らす環境も大切で、そこで呼吸して、眺めて、自然から与えられるものが、
 いつか手を通して出てくる」

会場からの質問に対しては、
「ものづくりをする人間にとって、大きいものが売れないのはつらい。
 小さいものばかりだと、仕事が小さくなる。
 大きいものをつくる合間に、小さいものをつくると
 パワーがこもっていいのだが」


つくり手としての実感がこもった言葉は、
小さいものを求めがちなつかい手の一人として
あらためて考えさせられました。


杉山さんと柴田さんのおふたりは
柳宗悦のもとで働いた鈴木繁男さんから直接
展示作業を学ぶ機会のあった方。


たしかに展示によって、印象は格段に違います。
デザインが重視される昨今は、特に。
どのように眼の力を鍛えるかは
「民藝館は“美の道場”」という、杉山さんのひと言に集約されていました。


武内真木さんは、いつもほんわかした笑顔で
夏期学校の準備や案内、参加者の荷物運びと、労をいとわない方。
つくり手であり、岡山県民藝協会の副会長でもあります。


鼎談で、ただただ謙虚な言葉しか出てこない真木さんに、
公開講座の講師を務めた松井健先生が、思わずフォロー。

「偉大な父親がいた子どもとしては、
 なかなか言葉が出てこないと思います。
 ご存じない方もおられると思うので紹介しますが
 真木さんのお父さんは、柳宗悦が認めた武内晴二郎さん。
 戦争で左腕を失った後も焼き物を続けた。
 縞(しま)の迫力がすごい」


気迫のこもった父、晴二郎さんの作風を知る人は
きっと家庭でも気の荒い面があったのではと想像してしまいがちですが
真木さんからは
「家族でお弁当をもってサイクリングにでかけるような、
 家庭的な人でした。
 たいていの遊びは一緒にしましたが
 そういえば、キャッチボールはしたことがなかった。
 よく腕がないと話題にされますが
 自分が生まれたときからそうだったので、
 腕がないことを意識したことはなかったんです」


過去と現在をすっと近づける、こんなひと言。
歴史としての歩みを振り返るだけでなく
実在した人の息づかいを感じられるのも
夏期学校のよさです。


会場では、焼きもの、吹きガラス、倉敷ノッティング、織物、
備中和紙、金工、木工、漆器、花むしろ、倉敷緞通、蒲細工、手まりなど、
地元のつくり手による即売会も開催。
つくり手の方とやりとりしながら買い求められる、楽しいひとときでした。









| 活動−2011夏期学校 倉敷会場 | 13:02 | comments(0) | trackbacks(0) |
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